カルメンマキ
スプリット―存在をめぐるまなざし歌手と武術家と精神科医の出会い
| 黒いうずまき |
鼎談をしている3人はいずれもボロボロで強く、また弱く生きてきたエピソードを話している。
とても丁寧な言葉を使い、また切実なので伝えたいことがじわりと体に浸透してくる感じがする。
それは、彼らの特異な体験を、読者に対して少しでも正確に伝わるよう苦心しているからだと思う。
ただ、わたしにとって残念なのは、一番興味を持った「体を割る」という言葉の説明が少し伝わりにくかったことだ。
しかし、それを差し引いても、この本の全編に渡って背後に漂っている、
暗くドロドロしたオーラを感じる価値は十二分にあると思う。
これは勇気を得ることのできる貴重な一冊だと思った。
| あまりにプライベートな |
精神科医名越康文、歌手カルメン・マキ、武術家甲野善紀司会的な鼎談。私は名越氏のテレビ番組を見て手に取ったのだが、それぞれ三者三様の生い立ちや体験が詳しく語られるが、あまりに個人的なことが語られなかなか入ってゆくことが出来ない。
即興が伝わってこないのと、知らないととわからないであろう実感が語られるので、このような即興を本にするにはただ原稿にするだけとは違った工夫が必要になると考えた。
おそらくカルメン・マキのファンでなければ必然性が引っ掛かってこない気がする。甲野氏のプライベートな思い入れが形になった奇書。
ただ、参考になったのは、名越氏が精神科医になったことを「業」ととらえていることだ。出会いの力とは人を業に引きずる力か。
